拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「もしかすると今からする私の発言は、あなたの心の傷を蒸し返してしまうかもしれません。お伝えするべきか、ずいぶん悩みました。でも、あなたを傷つけるかもしれないと分かっていても、どうしてもお伝えしたい内容だったからここに来ました」
「謝罪は不要だ。聞かせてくれ。君がそうまでして伝えたいと思ったことを、俺はぜひ聞きたい」
ティーナは一拍の間を置いて、ゆっくりと口を開いた。
「ファルザード様は『身の内に恐ろしい力を秘めている』と、そして『その力で一国を巻き込んだ悪行を起こしてしまうのが怖い』ともおっしゃいましたね」
「ああ」
「恐ろしい力、その認識がそもそも間違っていると思います。私は十三年前、あなたになにがあったのか知りません。けれどザイオンの闇魔力によって、なんらかの不幸が起こったのだろうと想像はできます。それでも、ザイオンの力はけっして恐ろしい力などではありません」
「謝罪は不要だ。聞かせてくれ。君がそうまでして伝えたいと思ったことを、俺はぜひ聞きたい」
ティーナは一拍の間を置いて、ゆっくりと口を開いた。
「ファルザード様は『身の内に恐ろしい力を秘めている』と、そして『その力で一国を巻き込んだ悪行を起こしてしまうのが怖い』ともおっしゃいましたね」
「ああ」
「恐ろしい力、その認識がそもそも間違っていると思います。私は十三年前、あなたになにがあったのか知りません。けれどザイオンの闇魔力によって、なんらかの不幸が起こったのだろうと想像はできます。それでも、ザイオンの力はけっして恐ろしい力などではありません」