拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「すべてはザイオンの闇魔力のなせる業だ。ただし〝病のもと〟が死滅しても、病によって落ちた患者たちの体力までは戻せない。体力回復のための闘病は続いていくし、その段階で生きる力が弱いものは亡くなってしまうこともあるはずだ。現実はこれですべて解決とはいかないだろう」
「そうだとしても! これは大きな……とてつもなく大きな功績です! ファルザード様とザイオンが国を救ったことに間違いありません。胸を張って王都に帰還しなくてどうしますか!?」
 勢い込んで告げる私をファルザード様は驚いたように見ていたが、フッと微笑んで頷いた。
「そうだな。胸を張って王都に帰ろう。約束通り、君も俺の隣に並んでの帰還だぞ」
「えっ!」
「忘れたとは言わせないからな。生涯、俺の隣は君だけの指定席だ」
 っ、そうだった! コクコクと首を縦に振るのが精いっぱい。そんな私をファルザード様が、そしてラーラとザイオンまでもが、やわらかな眼差しで見つめていた。

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