拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「それは構わないけど。でも、前に地植えの薔薇に水やりはいらないって聞いたことがあったよ?」
建物の軒下に紙袋とバスケットを下ろし、ミリアの許可を得て手押しの井戸のレバーに手をかける。ちょうど井戸の脇にジョウロが置いてあったから、それを拝借して水を汲んでいく。
「ええ、基本的にはそうね。でも、極端に雨が降らない場合には水をやった方がいいわ。ほら、一カ月前の嵐を最後にずっと雨がなかったから」
「へー。そういうものか」
ジョウロがいっぱいになると、ひと株ごとに「元気になあれ」と歌うように声をかけながら薔薇の根もとに水をかけはじめる。
その様子をラーラがバスケットから身を乗り出すようにして、金色の双眸でジーッと眺めている。陽光を弾いてだろうか、その瞳はやたらキラキラと煌いていた。
「嘘だろう!? 一度の水やりで、目に見えて葉や茎がシャンとした!」
水やりを終えた薔薇を見たミリアが驚嘆の声を漏らす。
「よっぽど渇いちゃっていたのね。なんにせよ、薔薇たちが元気になってよかったわ」
建物の軒下に紙袋とバスケットを下ろし、ミリアの許可を得て手押しの井戸のレバーに手をかける。ちょうど井戸の脇にジョウロが置いてあったから、それを拝借して水を汲んでいく。
「ええ、基本的にはそうね。でも、極端に雨が降らない場合には水をやった方がいいわ。ほら、一カ月前の嵐を最後にずっと雨がなかったから」
「へー。そういうものか」
ジョウロがいっぱいになると、ひと株ごとに「元気になあれ」と歌うように声をかけながら薔薇の根もとに水をかけはじめる。
その様子をラーラがバスケットから身を乗り出すようにして、金色の双眸でジーッと眺めている。陽光を弾いてだろうか、その瞳はやたらキラキラと煌いていた。
「嘘だろう!? 一度の水やりで、目に見えて葉や茎がシャンとした!」
水やりを終えた薔薇を見たミリアが驚嘆の声を漏らす。
「よっぽど渇いちゃっていたのね。なんにせよ、薔薇たちが元気になってよかったわ」