拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「はい。光の精霊の加護を得ています。シェルフォード侯爵家が次女、ティーナと申します。けれど、いずれは家名に代えて王国の名を頂くことになると思います。その際は、身命を賭してファルザード様を支えていく覚悟です」
「まさか儂が、歴史上初となる聖人と聖女の国王、王妃の誕生に立ち会うことになろうとはな。儂の治世とは違う、泰平の世が目に浮かぶようだ。して、婚姻式はどうするのだ?」
「法典に則った最短。半年後に」
 陛下からの質問に面食らうが、それにファルザード様が横からサラッと返した答えに度肝を抜かれる。
 嘘でしょうっ!? たしかに、私は彼からの求婚を受け入れた。とはいえ、そんなに早く婚姻するなんて聞いていない。
 ギョッとして隣のファルザード様を見ると、動揺する私を余所になんとも涼しい顔で微笑んでいる。その余裕が、ほんのちょっぴり恨めしい。
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