拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 謝罪を繰り返す私に、ミリアはきっぱりと言いきり、抱きしめる腕を強くした。その温かさと力強さが、申し訳なくも嬉しくて。
「ありがとう、ミリア。私も大好きよ」
 向かいからファルザード様の手も伸びてきて、そっと私の頭を撫でる。私の頭部をすっぽり覆ってしまえる大きな手が与えてくれる安心感と心地よさは手放しがたく、ずっとこうしていてほしいと思った。
 するとここでラーラもぴょこんと私の膝の上に乗ってきて、ふわふわの毛とピンクの肉球の可愛い前足で、私の頬をぽふぽふして慰めてくれる。くすぐったい刺激に、自然と頬が緩む。
 さらにザイオンまで足もとにやって来たと思ったら、シュッとした漆黒の前足を私の膝のあたりにトンッと置いた。驚いて見下ろすと、銀の瞳が労わるようにキラリと光った。
「あ、あのさ! 俺だってティーナのことは大切な仲間だって思ってるからな!」
 ファルザード様の隣、斜め向かいの席からかけられた不器用な言葉はライアン少年のもの。思春期の少年なりの精いっぱいの気遣いにほっこりした。
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