拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「歴史に名を残す毒婦だな。しかもその幕引きたるや……」
そう呟いたのは、誰だったのか。ただし声にしたのがその人というだけで、今の発言はここに集う全員の心の声だろう。
……そうなのだ。
ジェニス殿下は、正しく咎を負った。これから彼は、長い年月を贖罪に費やすことになる。
けれど、お姉様はそれらすべてを放棄した。なんとお姉様は皇太子キファーフ殿下を頼り、隣国シリジャナに亡命し、現在彼の国に暮らしているのだ。
ここで褐色の肌に不遜な笑みを浮かべたヘサームさんが、銀枠のモノクル越しに瞳をキラリと光らせながら口を開く。
「幕引き? ……いいえ、幕はまだ下りてはいませんよ」
そう呟いたのは、誰だったのか。ただし声にしたのがその人というだけで、今の発言はここに集う全員の心の声だろう。
……そうなのだ。
ジェニス殿下は、正しく咎を負った。これから彼は、長い年月を贖罪に費やすことになる。
けれど、お姉様はそれらすべてを放棄した。なんとお姉様は皇太子キファーフ殿下を頼り、隣国シリジャナに亡命し、現在彼の国に暮らしているのだ。
ここで褐色の肌に不遜な笑みを浮かべたヘサームさんが、銀枠のモノクル越しに瞳をキラリと光らせながら口を開く。
「幕引き? ……いいえ、幕はまだ下りてはいませんよ」