拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「体調はまずまずと言ったところかしら。こんな寒々しい場所にあるわりにはね。時にティーナ、もうじき母になるようだけれど、あなたは知っていて? 赤ん坊にはね、ハチミツを与えてはいけないそうよ」
マリエンヌはティーナからの問いかけに答えた後で、唐突にこんな話題を投げかけてきた。先ほどの呟きとは一転、こちらに聞かせる意図を持つしっかりした声だった。
「たしか、ハチミツに含まれる成分が乳児によくないと聞いたことがありますが」
怪訝そうにしつつティーナが答えると、マリエンヌは神妙に頷いた。
「ええ、死亡に至ることもあるんだとか。実は昔、うちではこの件でひと騒動あったのよ。あなたの離乳食に新任の料理人補佐がハチミツを使おうとしているのに侍女長が気づいて『お嬢様を殺す気か』って、それはもう上を下への大騒ぎ。解雇するしないで大揉めになった」
マリエンヌはティーナからの問いかけに答えた後で、唐突にこんな話題を投げかけてきた。先ほどの呟きとは一転、こちらに聞かせる意図を持つしっかりした声だった。
「たしか、ハチミツに含まれる成分が乳児によくないと聞いたことがありますが」
怪訝そうにしつつティーナが答えると、マリエンヌは神妙に頷いた。
「ええ、死亡に至ることもあるんだとか。実は昔、うちではこの件でひと騒動あったのよ。あなたの離乳食に新任の料理人補佐がハチミツを使おうとしているのに侍女長が気づいて『お嬢様を殺す気か』って、それはもう上を下への大騒ぎ。解雇するしないで大揉めになった」