拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「そして季節が移ろって、生まれたのが妹のあなた。これまで私の髪を優しく撫でてくれていたお母様の手と優しい眼差しが、私ではない他へ向いてしまったことに強烈な違和感と耐え難いほどの嫌悪を覚えたわ。同時に、いなくなればいいって、そう思った。だって、おかしいでしょう? なぜ、私が可愛がらなければならないの? 可愛がられるべくは『私』であって、ポッと湧いて出た『妹』なんて生き物じゃない。シェルフォード侯爵家の珠玉と称えられるのはね、私だけでいい。珠玉はふたつもいらないの」
到底理解しえぬ身勝手な犯行理由。加えて、悪びれる素振りもないふてぶてしいマリエンヌの姿には、怒りを通り越して呆れる。
「なんと自分本位な」
これ以上直視しているのが耐え難く、視線をマリエンヌから外して歯噛みしながらこぼした。
「『シェルフォード侯爵家の珠玉』というのは、お姉様の代名詞だわ。私という妹の存在が、お姉様を霞ませることなんてあるはずがなかったのに」
到底理解しえぬ身勝手な犯行理由。加えて、悪びれる素振りもないふてぶてしいマリエンヌの姿には、怒りを通り越して呆れる。
「なんと自分本位な」
これ以上直視しているのが耐え難く、視線をマリエンヌから外して歯噛みしながらこぼした。
「『シェルフォード侯爵家の珠玉』というのは、お姉様の代名詞だわ。私という妹の存在が、お姉様を霞ませることなんてあるはずがなかったのに」