拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
隣でティーナがぽつりと漏らしたこの言葉に、マリエンヌは憎々しげな目を向けた。
「そういうところよ! 謙虚と言えば聞こえがいいけど、あなたのそういういい子ちゃんなところが大嫌い。……ただ、愚直と言っていいくらい素直な性格はそう悪くもなかったわ。私が三、四歳の頃のあなたに『誰彼なく愛想を振りまいて媚び売るなんてみっともないことで、シェルフォード侯爵家の恥だ。気を引こうとしてしつこく絡んでいくあなたみたいな子供、みんな内心ではうっとうしく迷惑に感じている』と教えてあげれば、ならばどうしたらいいかと泣きついてきた」
ここまで動じなかったティーナの瞳が、初めて揺らいだのに気づく。
「私が『これまでと真逆をゆけばいい』と教えてあげたら、翌日からまんまと無味乾燥な出来損ないになったのには笑ったわ。命こそ奪えなかったけれど、これで貴族令嬢としてのあなたは殺せたと、死んだと思った」
「……お姉様」
「そういうところよ! 謙虚と言えば聞こえがいいけど、あなたのそういういい子ちゃんなところが大嫌い。……ただ、愚直と言っていいくらい素直な性格はそう悪くもなかったわ。私が三、四歳の頃のあなたに『誰彼なく愛想を振りまいて媚び売るなんてみっともないことで、シェルフォード侯爵家の恥だ。気を引こうとしてしつこく絡んでいくあなたみたいな子供、みんな内心ではうっとうしく迷惑に感じている』と教えてあげれば、ならばどうしたらいいかと泣きついてきた」
ここまで動じなかったティーナの瞳が、初めて揺らいだのに気づく。
「私が『これまでと真逆をゆけばいい』と教えてあげたら、翌日からまんまと無味乾燥な出来損ないになったのには笑ったわ。命こそ奪えなかったけれど、これで貴族令嬢としてのあなたは殺せたと、死んだと思った」
「……お姉様」