拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 ミリアの素っ頓狂な声を背中に聞きながら、私は孤児院を後にした。

 それ以降、相棒のラーラと共に孤児院に通うのがすっかり私の日課になっていた。
 ミリアと初日に約束した通り、二度目の訪問で私は孤児院の子供たち全員と挨拶して、言葉を交わした。最初こそ少しぎこちなさはあったけれど、ここに通いだして一週間が経った今では、ミリア以外の子供たちともすっかり打ち解けて仲良しになっていた。
 中には悪戯好きでやんちゃな子もいるけれど、みんな性根はとっても優しいいい子たちだ。
「なぁ。ティーナの花の栽培の技術って、やっぱ常人離れしてるよ。ほんと、すごすぎる特技だよ」
 すっかり生き返った花々を見回し、ミリアがしみじみと口にする。
 薔薇だけじゃない。花畑にほとんど捨て置かれたような様相だった花たちが、私の連日の世話で元気を取り戻していた。
「でも、ミリアたちに教えた通りのことしか私はやっていないわ。他の誰がやったって同じよ」
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