拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 どうしたのかしら? 疑問に思ったけれど、ミリアに食い気味に乗り出してこられ意識は彼女に向いた。
「いいじゃんいいじゃん! 花畑の余ってるスペースも有効活用できて、破格の見返りまで貰えて。こっちにはいいことしかない……まぁ、その分ティーナの負担は増えちゃうんだけど」
 台詞の後半で、ミリアがすまなそうにこちらを見上げた。
「やぁね。負担なんて思うわけないわ。ミリアの言う通り、空きスペースの有効活用ができる上に、定期的な現金収入が得られるんだもの。こんなチャンスは二度とないわよね」
 昨日相談した際、院長先生は『花畑は好きに使ってもらって構わない。判断は任せる』とおっしゃってくれていた。
 私にとって、世話する花が増えることは嬉しいこと。しかもそれが孤児院の現金収入確保に繋がるというのだから、断る選択肢はない。
「そうと決まれば早く行こうぜ! いつもの場所に、もう来てるかもしれないよ? 待たせて『やっぱりこの話はなかったことに』なんて言われちゃ堪んないからな」
「あっ。待って、ミリア!」
 興奮が隠せない様子で一気に歩みのペースをあげたミリアの後を慌てて追った。


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