拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
この状況を放ってはおけなかった。
俺はもともと己の権力や名声、富にこだわりはない。叔父は前国王の死去に際し、当時の国際状況や俺の年若さ、王族でありながら魔力がないこと──これについては対外的には消失したことにして、その実俺自身が封印しているだけなのだが──等を理由に王太子であった俺を退け、ほとんど奪うような形で王位に就いている。
叔父は十三年が経った今もいつか俺が反旗を翻すのではないかと警戒しているようだが、俺は王国の平和さえ維持されていれば王冠は誰の頭上にあっても構わなかった。
その叔父は地位と名声に固執する一方、政治のセンスはいまひとつ。叔父自身もそれを自覚しており、ここ数年は俺が日陰から彼の治世をフォローしていた。
そんな中で起こった今回の事件。俺はこの状況を打開するべく、去年から元締めと目されるカルマンという男の行方を追うようになった。
俺はもともと己の権力や名声、富にこだわりはない。叔父は前国王の死去に際し、当時の国際状況や俺の年若さ、王族でありながら魔力がないこと──これについては対外的には消失したことにして、その実俺自身が封印しているだけなのだが──等を理由に王太子であった俺を退け、ほとんど奪うような形で王位に就いている。
叔父は十三年が経った今もいつか俺が反旗を翻すのではないかと警戒しているようだが、俺は王国の平和さえ維持されていれば王冠は誰の頭上にあっても構わなかった。
その叔父は地位と名声に固執する一方、政治のセンスはいまひとつ。叔父自身もそれを自覚しており、ここ数年は俺が日陰から彼の治世をフォローしていた。
そんな中で起こった今回の事件。俺はこの状況を打開するべく、去年から元締めと目されるカルマンという男の行方を追うようになった。