拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
カルマンとグルの酒場はガードが固く、さすがに宿泊部屋の中に入って検めることはかなわなかった。そのため運搬に関わった彼の手下を調べたところ、運び込まれたのは麻薬草の種とほぼ断定できた。おそらくこれから春撒きに使う予定なのだ。
これはカルマンの身柄と共に、麻薬草の種が押収できる千載一遇の好機だった。彼には魔力も武の心得もなく、潜入はあえて単身で行うことを選んだ。そう広くもない一室で複数人がなだれ込んでは、逆に身動きが取りにくいからだ。
もちろん通り一本挟んだ場所には俺の配下を待機させており、捕縛が完了したら合図を送ってカルマンの連行及び、諸々の後処理を引き継ぐ手はずになっている。
『ニャー《たわけ。我をなんと心得る。闇魔力を用いずとも、只人ひとりに遅れはとらぬ》』
心外だとでも言いたげに、ザイオンがフンッと鼻を鳴らす。やけに人間臭いその仕草に、潜入前の緊迫した状況にもかかわらず思わずフッと口もとが綻んだ。
ところがその僅か数分後。俺は想定外の事態に直面していた。
これはカルマンの身柄と共に、麻薬草の種が押収できる千載一遇の好機だった。彼には魔力も武の心得もなく、潜入はあえて単身で行うことを選んだ。そう広くもない一室で複数人がなだれ込んでは、逆に身動きが取りにくいからだ。
もちろん通り一本挟んだ場所には俺の配下を待機させており、捕縛が完了したら合図を送ってカルマンの連行及び、諸々の後処理を引き継ぐ手はずになっている。
『ニャー《たわけ。我をなんと心得る。闇魔力を用いずとも、只人ひとりに遅れはとらぬ》』
心外だとでも言いたげに、ザイオンがフンッと鼻を鳴らす。やけに人間臭いその仕草に、潜入前の緊迫した状況にもかかわらず思わずフッと口もとが綻んだ。
ところがその僅か数分後。俺は想定外の事態に直面していた。