拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 彼は私の対面のソファに腰を下ろし、ふたりの真ん中のローテーブルにその箱を置く。彼が蓋を開けると、木箱の中には茶色の薬瓶に密閉された種がクッション材の上にぎっしりと詰められていた。
「え!? こんなにいっぱい……!」
 一般的に種は湿気と温度変化、光を嫌うから保管方法としては完璧だが、いかんせんその量の多さに目を丸くした。なんと瓶は全部で十六個もあった。
「あなたの植物栽培の手腕は素晴らしいですからね。可能な限り多く育てていただきたくて、少し多めに用意しています。それからこの保管の仕方なら問題なく一年以上持ちます。余力があれば半年後に、秋撒きも試していただけたらと思いまして」
「たしかに年に二回収穫できたら、効率的ですね。ただ性質が難しいとも伺っていますし、うまくいくかお約束はできませんが。それでもよければやってみます」
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