拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
カルマンさんは木箱の蓋をきっちり閉め、私に向かって差し出す。
私がソファから立ち上がり、両手で受け取ろうとした、まさにその瞬間──。
「それを受け取ってはダメだ!」
バンッと扉が打ち破られ、男性の鋭い声が響く。
え? 私はビクンとして、反射的に伸ばしかけていた手を引っ込めた。
その後の展開は、まるでお芝居の一幕でも見ているみたいに目まぐるしいもので。
扉から飛び込んできたのは、この国ではあまり見ない黒髪を持つ大柄な男性と、彼と同じ漆黒の色をしたネコだった。
「カルマン! お前が麻薬草流通の元締めだという証拠はあがっている! 大人しくしろ!」
男性はそう叫びながら、木箱を投げ出して突き出し窓に向かって駆けだしたカルマンさんを流れるような動きで捕まえ、手早くその両手に拘束具を嵌める。
次に口に猿轡を噛ませたのは、声を封じるよりむしろ自死や自傷を警戒しての対策なのかもしれない。
私がソファから立ち上がり、両手で受け取ろうとした、まさにその瞬間──。
「それを受け取ってはダメだ!」
バンッと扉が打ち破られ、男性の鋭い声が響く。
え? 私はビクンとして、反射的に伸ばしかけていた手を引っ込めた。
その後の展開は、まるでお芝居の一幕でも見ているみたいに目まぐるしいもので。
扉から飛び込んできたのは、この国ではあまり見ない黒髪を持つ大柄な男性と、彼と同じ漆黒の色をしたネコだった。
「カルマン! お前が麻薬草流通の元締めだという証拠はあがっている! 大人しくしろ!」
男性はそう叫びながら、木箱を投げ出して突き出し窓に向かって駆けだしたカルマンさんを流れるような動きで捕まえ、手早くその両手に拘束具を嵌める。
次に口に猿轡を噛ませたのは、声を封じるよりむしろ自死や自傷を警戒しての対策なのかもしれない。