拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
彼に対する恐怖心はなくとも、この後私を待ち受ける処遇には不安しかない。私は座らされたソファから身を乗り出すようにして、男性に尋ねた。
「大丈夫だ、君の事情はおおよそ分かっている。悪いようにはしない」
男性は私を安心させるように答え、視線を私の後方に移した。
……私の事情が分かっているって、どういうことかしら。
若干の疑問を感じつつ彼の視線の先を追うと、いつの間にかバスケットから飛び出したラーラが彼が連れていた黒ネコと『ニャー』『みゅー』と鳴き合っているではないか。
明らかに、二匹は会話をしていた。ただし、しきりに話しかけているのは黒ネコで、ラーラはそれに困ったように小さく鳴いて答えていた。
「あのネコは君のか?」
「はい、ラーラとい言います。先の嵐の日に、うちの前に倒れているのを拾って。それからは私が飼っています」
「……そうか。君は?」
「え?」
唐突な質問の意図が掴めず、小首を傾げる。
「君の名はなんと言うんだ?」
「あ、ティーナと言います」
「大丈夫だ、君の事情はおおよそ分かっている。悪いようにはしない」
男性は私を安心させるように答え、視線を私の後方に移した。
……私の事情が分かっているって、どういうことかしら。
若干の疑問を感じつつ彼の視線の先を追うと、いつの間にかバスケットから飛び出したラーラが彼が連れていた黒ネコと『ニャー』『みゅー』と鳴き合っているではないか。
明らかに、二匹は会話をしていた。ただし、しきりに話しかけているのは黒ネコで、ラーラはそれに困ったように小さく鳴いて答えていた。
「あのネコは君のか?」
「はい、ラーラとい言います。先の嵐の日に、うちの前に倒れているのを拾って。それからは私が飼っています」
「……そうか。君は?」
「え?」
唐突な質問の意図が掴めず、小首を傾げる。
「君の名はなんと言うんだ?」
「あ、ティーナと言います」