拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「それにしても、まさか捕縛を決行する日に種の引き渡しが行われようとは思ってもみなかった。ティーナは麻薬草だと知らずに栽培を請け負おうとしていたんだろう?」
「その通りです。ですが、どうしてファルザード様はすぐに私のことを信じてくださったのですか?」
「それは、ザイ……いや。まぁ、なんだ。長く王国の秩序を裏から支える仕事をしているからな。それなりに人を見る目は磨かれているんだ」
 えぇっと。それは、私が彼の真贋にかなったということなのか。
 彼の答えはどことなく歯切れが悪く、もしかするとそれは建前で、なにか彼なりの判断基準を持っているのかもしれないと感じた。
 その時。
 ファルザード様の連れていた黒いネコが、トトトッと私の足もとにやって来る。
「ん? どうしたのネコちゃん?」
 ネコは神秘的な銀色の瞳でジッと私を見上げ、なにかを訴えるように鳴く。
『ニャー』
 ……なんだろう? 私になにか、伝えたいことでもあるのかしら。
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