拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
第三章 事件、そして縮まるふたりの距離
これからカルマンの部屋に突入しようという、まさにその刹那。
『ニャー!《光の精霊がいる……!》』
すぐ横を並走していたザイオンが、予想だにしない台詞を叫んだ。
なんだと!? 精霊がいる──それは則ち、俺と同じ精霊の加護を持ついとし子が存在することを意味している。
一年に及ぶ調査で、カルマンがいとし子でないことは分かりきっている。そうなれば、辿り着く答えはひとつ。
室内にカルマンとは別にもうひとり女性がいることは、既に配下からの緊急報告を受けて把握していた。捕縛対象に女性がひとり増えたところで後れを取る俺ではないし、なにより今さら計画中止はあり得ない。むしろ、女性がカルマンの協力者ならば纏めて捕縛をするいい機会だとすら思っていた。
だが、その女性が俺と同じいとし子だというのは、まさに寝耳に水。
「っ、まずは潜入し計画通りカルマンを捕縛だ! 件の女性については、その後で対応する!」