拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
『みゅー《あたち、しょんべん垂れないもん》』
 ……なにも言うまい。
 たとえラーラが精霊の中でも最高位の光の精霊でありながら、生まれたばかり赤子のような未熟さだろうとも。
 それゆえ、いまだ己のいとし子であるティーナと意思疎通すらままならず、ティーナにいとし子の自覚が無かろうとも。
『ニャー《ファルザードよ。そなたもなんとか言ってやったらどうだ。そうだ、人語でティーナの方に【躾がなっていない】とでも伝えてやればよかろうに》』
 ザイオンが俺に水を向けてくる。
 本音を言えば、俺とて猫パンチと見せかけた光魔力攻撃が繰り出せるなら、ぜひともティーナとの意思疎通の方を優先してほしいと思ってしまう。しかし、こんなふうに考えること自体が、そもそも俺のエゴだ。
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