キラキラ王子様系男子の秘密を知ったら実はアブナイオオカミでした?!
当日。待ち合わせの場所に着くと、先輩はもう来ていた。
「先輩…!ごめんなさい、待たせて」
「ううん、今きたとこ」
うわーん王子様のセリフだあ。絶対、10分前には来てるよこれ。私だって5分前に着いたのに。スパダリすぎるよ…。今日の先輩は、黒いモノトーンコーデだ。帽子もおしゃれでかっこいい。私は白のワンピースで、ちょっと気合いを入れてみた。
「今日の服もかわいいね」
そんなことを言われて照れてしまう。
「先輩も、かっこいいです」
と言うと先輩は恥ずかしそうに帽子を触った。

目的地のプラネタリウム館までバスに乗る。学校からは少し遠い。数分揺られて、途中、先輩が私の肩に倒れてきたりして、ドキドキするなんてハプニングもありながら、無事到着した。
中に入る。始まる時間はもうすぐだ。
「楽しみですね」
「ああ」

貸切なので真ん中の席を選ぶ。椅子が倒れ、寝転ぶ形になる。部屋が暗くなり、星が東映される。小さい頃、眠れない時にシアターを流してもらって、天井に星を沢山見つけたのを思い出した。それを掴もうとして、何度も手を伸ばしたっけ。

ゆっくりと星が流れていく。

「綺麗ですね」
「ね……」
先輩は私を見ながら言う。わたしはそれに気付かない。

私は星々に見とれてしまう。銀河ってなんて綺麗なんだろう。キラキラと流れる星を掬ってみたくなる。思わず手を伸ばした私を見て、先輩も手を伸ばした。
「掴めた?」
そう無邪気に聞く先輩に、
「うーん、難しい」
と笑う私。その二人の瞳にはキラキラの夜空が写っている。
星に夢中になっている間に、月の形がどんどん変わっていく。ついには満月に近くなる。明るい光が私たちを照らす。偽物の満月の下。先輩はまばたきをしながら、
「普通に満月を見たのは初めてだ」
と笑う。そして、私を見つめ、
「ここで誓わせて。僕は君を愛してるよ」
私はぼんっと真っ赤になってしまう。月が欠けていく。暗くなってよかった。
私は今、世界で一番幸せかもしれない。好きな人に愛してると言われた。
「私もです」
私はそう言って満面の笑顔になる。

でも、ほんと、先輩ったらロマンティックだ。
偽物だけど、こんなに綺麗な月の下で
本当の愛を誓えたのだから。

もう一度、私は星に手を伸ばす。きゅっと握りしめた手の中には、私の想いの銀河があるはすだ。

「掴めた…」

手放すことは無い。永遠に。
< 18 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop