Hush night

静寂と激動






その夜は結局、一睡も出来なかった。

麗日がそばにいないと寝ることが出来なくなったなんて困った話だ……と思いつつ、彼の帰りを待ち続けること数時間。


そのため、早朝に部屋の鍵が開けられる音がした瞬間、思わず嬉しくて玄関の前まで飛んでいってしまった。



「え、うる、どうした」



髪はぼさぼさだし、一睡もしていないから、きっと今のわたしは酷い顔。


その状態で玄関の前で立ちすくんでいるのだから、麗日が驚くのも不思議じゃない。



「……まってた、」



俯きながら小さくそう呟く。

麗日のいない部屋で過ごすのは、いつもの何倍も長い時間だった。



「待ってたって、うる、もしかして寝てねえの?」


「…………寝ようとした、けど、寝れなかった」



「……俺がそばにいなかったから?」



ふと優しいトーンで尋ねてくる麗日は、いつもどおりの彼だった。

そのことに凄く安心して、素直に首を縦に振った。

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