Hush night
わたしなんか価値のない人間なのに。
どうしてこんなにわたしのために動いてくれるのかわからない。
いつか、後悔するはずなのに。
そんな未来ないとでも言うように、わたしを沢山甘やかしてくれる。
「…………うん、ありがとう。麗日」
そう口にしたわたしを、麗日はまじまじと見つめてくる。
変なこと言ったかな……と不安になる隙もなく、彼はふっと微笑んだ。
「うるが俺の名前呼んでくれるだけで死ぬほど幸せなんだもんな」
そのまま嬉しそうに店員さんのもとへ行くと、「この子が似合いそうな服何着か持ってきて」と声をかけていた。
麗日の依頼に、即座にその店員さんが選んできた服は、ややドレス感が否めなかったけれど、色は落ち着いていて可愛いデザインのものだった。
およそ10着くらいあったけれど、わたしがその服たちに見惚れているのを見た麗日は、店員さんに言う。
「それ全部買うわ。あとそのカバンとブーツも」
「……え」
「これもうるに似合いそう。追加で」
「……れ、麗日、」
カードで支払いを済まそうとする麗日に声をかけると、彼は可笑しそうに口を開いた。
「うる、顔真っ青」
「……買ってもらいすぎ、だから、」
「いーの。俺が着てほしいだけだから」