宿り木カフェ
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「という結果でした!どうだ!」
『すげー、ほんとにこの短期間でまともな彼氏作りやがった!』
そういうと、二人で大笑いした。
私はすぐに「宿り木カフェ」に予約し、すぐにタクヤさんに報告した。
「でも、なんだかんだ言って、ここで後押ししてもらわなければ早くに彼の事は切っていたかも」
『まぁそういう運命だったんじゃね?』
「運命ねぇ、便利な言葉だわ」
『とりあえずさ、自分を冷静に分析して、そして男にも、もっと偏見持たずに付き合いなよ?』
「偏見もってるなんてあんまり思ってなかったし、今もイマイチピンと来ないけどね。
なんか単にノリで進めてしまったような心配はあるんだけど」
『別に今すぐ結婚という訳じゃ無いんだし、まずは交際からですよ。
貴女、思った以上にまともな交際経験無いみたいだし』
「すみませんね、恋愛初心者で」
しかし、今まで私の思っていた男性への常識が通用しなかったり、私もまだ昔の男性達と戻れるなら戻りたいと思ったりもする。
『前の男達から声かかっても、まずはその研究者と真剣に付き合ってる時は断れよ?
どうせそういう世界に未練があるんだろうし』
「おっしゃるとおりです」
『そっちの世界に幸せが無いとは言わないけどさ、多分貴女の根っこはそっちに合わないんだと思うよ?
刺激は少ないかもしれないけどさ。
まぁ選ぶのは君次第だ』
「うん・・・・・・」
『落ち込むな落ち込むな!
ほら、もう俺とのおしゃべりも終わりだぞ?』
そう言われ画面を見れば残り時間の表示。
これが終わればもうタクヤさんと話すことも二度と無いのか。
「ありがとう、こんなにかっこつけず男性と話せたの初めてだった」
『どういたしまして。
美人故の苦労もあるだろうけどさ、もう少し自信持って進みなよ』
「そう、だよね。
もう少しなんか新しいことでもしようかなぁ」
『はじめようと思った時が転換点って事で。
とりあえず、婚活やったり、ここのカフェ来たり色々動いてるからそのままやっちゃいなよ』
「あはは、ありがとう。
そのポジティブさ見習うよ」
『おう!頑張れよ!』
「うん、そっちもね!」
最後タクヤさんの笑い声が聞こえて、通話は終了した。
ネットの世界で今の彼氏に出会い、ネットの世界で初めて気楽に話せる男性に会い、後押ししてもらった。
「ネットだって捨てたものじゃないよね」
私はそう呟いて、『宿り木カフェ』のサイトを閉じた。