【シナリオ版】仮面公爵の素顔は溺愛する令嬢のみぞ知る
第4話
〇黒町家屋敷・寝室(夜)
江芭、布団の上に寝転がりぜえぜえと喘鳴を漏らす。
江芭M「苦しい……これだけきつい発作が出たのはいつぶりだろうか」
江芭、右手で胸を押さえつけるようにして撫でる。
江芭M「早く、おさまれ……! おさまれ……!」
江芭、ぎゅっと目を閉じて発作が収まるのを祈る。
久仁和「江芭!」
久仁和、ふすまを勢いよく開いて寝室に戻って来る。久仁和の右後ろには中年くらいのあごひげを生やした医者と若い看護婦が白衣を着て控えている。
久仁和「江芭、医者と看護婦を連れてきたぞ」
久仁和と医者と看護婦、急いで布団の上に寝転がって苦しむ江芭の元に駆け寄る。
医者「診察します。あおむけになってください」
医者、白衣の右ポケットから聴診器を取り出し装着する。
江芭「は、はい……」
江芭、久仁和に支えてもらいながら仰向けに転がる。
江芭「はあっ……」
久仁和「ゆっくり呼吸するんだ。焦ってはいけない」
医者「久仁和様のおっしゃる通りです。ゆっくり息を吸って吐いてください。聴診器当てていきます」
医者、江芭の胸元に服越しに聴診器を当てて音を聞いていく。
医者「ふむ……」
江芭「はあっ……げほげほっ」
医者「では私の方に背中を向けていただけますか?」
江芭「はい……」
江芭、久仁和に押されるようにしながら医者に背中を向ける。
医者「では、背中にも聴診器を当てます」
医者、江芭の背中に服越しに聴診器を当てていく。
医者「やはり……もう大丈夫です。楽な姿勢になってください」
江芭「はい……どうでしたか?」
久仁和「どうなんだ?」
久仁和、座ったまま医者に無言で心配そうな表情を浮かべながら距離を詰める。
医者「奥様は薬ここのところ飲まれていますか?」
江芭「いえ……全く」
江芭「久仁和様の連れられてここに来てからは着の身着のままだったから飲めなかった……彼を責めるわけではないのだけど」
医者「その事も影響しているかと思います。なので薬を用意しておりますのでお早めにお飲みください」
久仁和「……分かった。薬はあるんだな?」
医者「はい」
医者、黒い革のカバンから白い紙袋に入った漢方薬を取り出し久仁和に渡す。
久仁和「今すぐ飲ませた方がいいんだな?」
医者「はい、お願いします」
久仁和「わかった。白湯を持ってくる。江芭、少し待っててくれるか?」
江芭、久仁和を見上げるようにしてみつめながらこくりとうなづく。久仁和、江芭の頷きを見届けてから早歩きで部屋から退出する。看護婦、江芭の横に近寄る。
看護婦「もう少しですからね。薬を飲めば楽になるはずです」
江芭「あ、ありがとう……ございます」
看護婦、江芭の背中をマッサージするように撫でる。江芭、何度も咳き込む。
江芭「すみません……」
看護婦「いえいえ、お気になさらず」
久仁和、湯呑を持って寝室に入る。
久仁和「白湯だ」
江芭「ありがとうございます」
江芭ゆっくりとその場から起き上がり、布団の上に座る格好になる。
久仁和「熱いかもしれんぞ」
江芭「はっはい」
久仁和、ゆっくりと江芭に湯呑を差し出す。江芭、両手で湯呑を受け取り、深呼吸する。
江芭「ありがとうございます」
江芭M「そこまで熱くはない。これなら飲めそうだ」
久仁和、白い紙の袋に入った漢方薬を1包分江芭に手渡す。江芭それを受け取り口の中にさっと入れると湯呑に入ったお湯ごと漢方薬を飲む。
江芭「ごくごくっ……はあっ。飲みました」
医者「ではこの薬を欠かさず飲んでください。また何かあればいつでもお呼びください」
久仁和「ありがとう」
江芭「ありがとう、ございました……」
看護婦「また何かありましたらいつでもお呼びくださいね」
看護婦と医者、久仁和と江芭に向けて座礼をし、寝室からゆっくりと退出する。
江芭「はあ……」
江芭M「薬が効くとよいけど」
久仁和、江芭を申し訳なさと心配そうなまなざしで横から見つめる。
久仁和「……すまなかった。急に貴様を屋敷に連れてきたばかりに」
久仁和、布団の上に座る江芭の背中に両腕を回しそっと抱きしめる。
久仁和「すまなかった、苦しい思いをさせてしまった……」
江芭「いえ、そこまで謝らなくても……」
江芭、久仁和の背中に両腕を伸ばし抱き締める。
江芭M「ああ、優しい人だ……」
久仁和「では、寝ようか。今日は無理せずゆっくり休んだ方が良い」
江芭「ごほっ……そうですね」
江芭、ゆっくりと横になり布団を被る。久仁和、江芭と対面する構図で横になる。
江芭M「わっ近い」
久仁和「俺がいるから安心して眠るとよい」
江芭「あ、ありがとうございます……」
赤面する江芭。久仁和、笑顔を浮かべながら仮面を取り枕のそばに置く。
久仁和「ふふっ……」
江芭M「近いし色気がすごくてどきどきするけど……なんだか安心してきたかもしれない」
江芭「すっ……」
江芭、目を閉じる。久仁和、彼女が眠る様子を優しい目つきで見守り続ける。
江芭、布団の上に寝転がりぜえぜえと喘鳴を漏らす。
江芭M「苦しい……これだけきつい発作が出たのはいつぶりだろうか」
江芭、右手で胸を押さえつけるようにして撫でる。
江芭M「早く、おさまれ……! おさまれ……!」
江芭、ぎゅっと目を閉じて発作が収まるのを祈る。
久仁和「江芭!」
久仁和、ふすまを勢いよく開いて寝室に戻って来る。久仁和の右後ろには中年くらいのあごひげを生やした医者と若い看護婦が白衣を着て控えている。
久仁和「江芭、医者と看護婦を連れてきたぞ」
久仁和と医者と看護婦、急いで布団の上に寝転がって苦しむ江芭の元に駆け寄る。
医者「診察します。あおむけになってください」
医者、白衣の右ポケットから聴診器を取り出し装着する。
江芭「は、はい……」
江芭、久仁和に支えてもらいながら仰向けに転がる。
江芭「はあっ……」
久仁和「ゆっくり呼吸するんだ。焦ってはいけない」
医者「久仁和様のおっしゃる通りです。ゆっくり息を吸って吐いてください。聴診器当てていきます」
医者、江芭の胸元に服越しに聴診器を当てて音を聞いていく。
医者「ふむ……」
江芭「はあっ……げほげほっ」
医者「では私の方に背中を向けていただけますか?」
江芭「はい……」
江芭、久仁和に押されるようにしながら医者に背中を向ける。
医者「では、背中にも聴診器を当てます」
医者、江芭の背中に服越しに聴診器を当てていく。
医者「やはり……もう大丈夫です。楽な姿勢になってください」
江芭「はい……どうでしたか?」
久仁和「どうなんだ?」
久仁和、座ったまま医者に無言で心配そうな表情を浮かべながら距離を詰める。
医者「奥様は薬ここのところ飲まれていますか?」
江芭「いえ……全く」
江芭「久仁和様の連れられてここに来てからは着の身着のままだったから飲めなかった……彼を責めるわけではないのだけど」
医者「その事も影響しているかと思います。なので薬を用意しておりますのでお早めにお飲みください」
久仁和「……分かった。薬はあるんだな?」
医者「はい」
医者、黒い革のカバンから白い紙袋に入った漢方薬を取り出し久仁和に渡す。
久仁和「今すぐ飲ませた方がいいんだな?」
医者「はい、お願いします」
久仁和「わかった。白湯を持ってくる。江芭、少し待っててくれるか?」
江芭、久仁和を見上げるようにしてみつめながらこくりとうなづく。久仁和、江芭の頷きを見届けてから早歩きで部屋から退出する。看護婦、江芭の横に近寄る。
看護婦「もう少しですからね。薬を飲めば楽になるはずです」
江芭「あ、ありがとう……ございます」
看護婦、江芭の背中をマッサージするように撫でる。江芭、何度も咳き込む。
江芭「すみません……」
看護婦「いえいえ、お気になさらず」
久仁和、湯呑を持って寝室に入る。
久仁和「白湯だ」
江芭「ありがとうございます」
江芭ゆっくりとその場から起き上がり、布団の上に座る格好になる。
久仁和「熱いかもしれんぞ」
江芭「はっはい」
久仁和、ゆっくりと江芭に湯呑を差し出す。江芭、両手で湯呑を受け取り、深呼吸する。
江芭「ありがとうございます」
江芭M「そこまで熱くはない。これなら飲めそうだ」
久仁和、白い紙の袋に入った漢方薬を1包分江芭に手渡す。江芭それを受け取り口の中にさっと入れると湯呑に入ったお湯ごと漢方薬を飲む。
江芭「ごくごくっ……はあっ。飲みました」
医者「ではこの薬を欠かさず飲んでください。また何かあればいつでもお呼びください」
久仁和「ありがとう」
江芭「ありがとう、ございました……」
看護婦「また何かありましたらいつでもお呼びくださいね」
看護婦と医者、久仁和と江芭に向けて座礼をし、寝室からゆっくりと退出する。
江芭「はあ……」
江芭M「薬が効くとよいけど」
久仁和、江芭を申し訳なさと心配そうなまなざしで横から見つめる。
久仁和「……すまなかった。急に貴様を屋敷に連れてきたばかりに」
久仁和、布団の上に座る江芭の背中に両腕を回しそっと抱きしめる。
久仁和「すまなかった、苦しい思いをさせてしまった……」
江芭「いえ、そこまで謝らなくても……」
江芭、久仁和の背中に両腕を伸ばし抱き締める。
江芭M「ああ、優しい人だ……」
久仁和「では、寝ようか。今日は無理せずゆっくり休んだ方が良い」
江芭「ごほっ……そうですね」
江芭、ゆっくりと横になり布団を被る。久仁和、江芭と対面する構図で横になる。
江芭M「わっ近い」
久仁和「俺がいるから安心して眠るとよい」
江芭「あ、ありがとうございます……」
赤面する江芭。久仁和、笑顔を浮かべながら仮面を取り枕のそばに置く。
久仁和「ふふっ……」
江芭M「近いし色気がすごくてどきどきするけど……なんだか安心してきたかもしれない」
江芭「すっ……」
江芭、目を閉じる。久仁和、彼女が眠る様子を優しい目つきで見守り続ける。