世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
そんな理屈っぽいことを口にしそうになったけど、やめた。

そうだよな。こいつの中で俺は……

‪”‬付き合ってる‪”‬

になってるんだもんな。

そう思うと複雑で、それ以上拗れたことは考えられなくなった。

『あ、楽しみじゃないなら、楽しみにしててね!私が絶対楽しませるからっ!』

ろくに喋りもしない俺に、毎晩毎晩、よく飽きないもんだな……。

***

9月24日。土曜日。

朝、チラッ、と病院に寄って、それから待ち合わせの10時半に間に合うように駅前の噴水広場に向かった。

「あっ!結星くんっ!」

まだ10分前だっていうのに、着いたらあいつはもう居て、俺の姿を見つけるなりタタタッ…、と駆け寄ってきた。

「来てくれてありがとっ!」

「……別に」

白いフリルのワンピースの裾を揺らしながら、何か欲しがるように俺の方を見ていた。

「どうっ!?この服!可愛いでしょ!」

「……」

「可愛いでしょ!」

「……」

圧…すげぇな。

「…あぁ」

「てへへっ……」

無理矢理言わした自覚はないのか、呑気な微笑みを浮かべて、照れ隠しなのかなんなのか。

斜めがけのカバンの紐をギュッ、と掴んでいた。

「結星くんも…っ、その…っ、えーとっ…」
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