世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
何でもやりたいこと言って、わがまま放題かと思ったが、こいつは、時々こうして言葉をつまらせる。

でも、ちょっと待ってれば…

腹を括ったように何か言う。

気恥しいムズムズとするような言葉を。

「かっ…、かっこいいねっ!」

ちっちゃくて華奢な身体をキュッ、と縮こまらせながら、どこか照れたように上目遣いになった。

かっこいいとか、かわいいとかそんな恋人っぽい言葉の馴れ合いの連発に「…うっせぇよ」とボヤく。

すると「ツンツンしてる!」と後ろから背中をツンツンされた。

ーーいい匂いがほのかに漂っていた。

石鹸みたいな、そういうフローラルな香り。

今日は化粧もうっすらしてるみたいで、頬に程よくチークが塗られていた。

唇も薄ピンクで、太陽の光がそこに当たる度、ツヤを感じた。

「今日ね!桃子ちゃんが…、あっ、友達がね!メイクしてくれたんだっ!」

「……」

「え、と…っ、その……っ、おかしく…ないかな……っ」

…っとに、図々しい奴だな。

隣でモジモジと指をいじっていたので、渋々。

……渋々だ。

「……いいんじゃないか」

「ほんと!? かわいいってこと!?」

キラキラした目……しやがって。

こんなことで喜ぶなんて、単純だな。

女だからなのか、こいつだからなのか、そういうことを俺は知らないが。

こいつは…

「そうは言ってないだろ…」

「てへへっ、やったぁ!やったーぁ!」

普通の女の何倍も喜びを表に出す…素直な奴な気はしていた。
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