世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
「…あ、りがとな」

ぎこちなく礼を言って受け取ると「今回は甘さ控えめにしたよっ」と言ってきた。

「最初にあげた時ね、結星くん…『俺甘いもん好きなんだ』って、言ってくれたの。でも、あとから本当は苦手 ってこと知って…。へへ、優しいでしょ!結星くん!私には嘘ついたんだよー?」

一瞬、プクッ、と頬を膨らませて怒るような仕草を作ったが、またすぐにコロッ、といつもの表情に戻った。

「あ、だからね!? 嫌いなものは嫌い、ってちゃんと言ってね、って言ったら結星くん、『実は俺、虫が苦手なんだ』って言ったの! 超可愛くない!?」

「……」

‪”‬ そ ん な エ ピ ソ ー ド 知 ら ね ぇ よ ‪”‬

そんな言葉が…すぐそこまで出かかっていた。

前に、こいつのクッキーをもらったことも、虫が嫌いって言ったことも、俺は何1つ……知らない。

だけど、思いのほか、そんな昔話をするこいつが楽しそうで。嬉しそうだったから……。

それを『知らねぇよ』で括るのは、躊躇われた。

「って…ごめんっ、覚えてないよね、はは…」

「…どっちから告白したんだ」

「へっ…?」

一瞬。困惑した様子だったけど、すぐに弾けるような笑顔に変わって、弾んだ声で自らを指さした。

「私っ!」
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