世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
ここで「うん」なんて頷かれたらたまったもんじゃないけど、と思いつつも紅嵐くんに尋ねてみた。

「紅嵐くんも……寝てる私に何かしました?」

「え? …してないよ? するわけないでしょ?」

「今なんか変な間が…」

「いや?まじでしてないよ?」

「えー…」

変な間が若干気になって、疑いの目を向ける。

すると横から海月くんが口を挟んだ。

「紅嵐は寝てる女の子にはまじで手出さないから大丈夫だよっ」

「あぁ、そんなことしたら俺の美学に反するからな」

腕を組んで自信満々にそんな理論を唱えた紅嵐くんを私はまたもじとー、と睨まざるを得なかった。

「突然女の子眠らせて、その隙に拘束して首筋舐めるのはその美学とやらに反しないんですか…」

「それは大丈夫」

「なんでよ!」

2人は私が結星くんに振られたことを知っているのかいないのか正直分からないけど、でも目が覚めてからはずっとこんな調子でいい意味でうるさく騒いでくれているから、寂しい気持ちも段々と薄れていった。

「でも、ほんとに大丈夫だよ。僕は誰もいない時を見計らってキスしたけど、基本的には結星が(・・・)ずっと付きっきりで羽瑠ちゃんのこと見てたからっ」

「……」

え………?

結星……?

随分サラッとしていた今の発言を何度も反芻して、確かめる。



聞き間違いかな?

聞き返そうかな、と思ったその時だった。

ーーガラー!

勢いよく病室の扉が開いて、そちらに目を向ける。

私はたまらず目を見張った。
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