世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
結星くんと2人きりになった病室。

未だ、肩を震わせた結星くんに抱きしめられたままシーン、と沈黙が空気を伝う。

「……結星くん…?」

抱きしめられている意味なんて分かんなくて。

ただ頭が混乱した。

ーー俺は、この先二度と羽瑠を好きになることはない

そんな言葉が容赦なく頭を駆け巡って、やっぱりさっき聞こえた言葉は何かの間違いだ…、とあまりに都合のいい希望を打ち消す。

でも、私の身体を抱きしめる結星くんはとても力強くて、もう離さない、とでも言ってるみたい。

そんな中。結星くんが絞り出すように涙まじりの声を出した。

「別れようなんて……っ、思ってないんだ……、二度と好きになることない、なんて言ってごめん……っっ、好きなんだ……っ、俺……羽瑠のことすげぇ好きなんだよ……っ」

「……っ、」

優しく肩を掴まれて。

そしてゆっくりと結星くんが私の身体から離れていった。

視界に映るのは、顔を歪めてボロボロと涙を流す結星くんで。

こんな表情を見たのは今も昔も合わせて、この時が初めてだった。

「この1ヶ月…っ、羽瑠の目が覚めなかったらどうしよう、ってずっと思ってた…っ、」

「……」

「すげぇ怖かった…っ」

私の肩に触れる結星くんの手は微かに震えてて、その声を聞くなり私も涙腺が刺激されて、釣られるように涙が込み上げてきた。
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