世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
#7 あなたの正体
【彼side】

*4年前*

「これ俺の彼女。可愛いだろ」

「また惚気かよ。うぜー」

「ギューして、って擦り寄ってくるんだぞー。いいだろ」

「はいはい。いいですね」

ーー最近。結星に彼女が出来たらしい。

結星は明るく陽気な性格で、学校でのイメージも程よく真面目な優等生、といったところだろう。

保育園。小学校。

今までずっと一緒の道を歩んできたが、結星は春に私立の中学を受験し軽々と合格した為、

この頃俺達は別の中学に通っていた。

その彼女とは中学で出会ったらしい。

ここ数ヶ月、スマホを見ては口元をニヤつかせているな、と思っていたが…そういうことか。いい感じに青春満喫しやがって。

よっぽど嬉しいのか、ある時から家に帰ってくるなり、毎日のように惚気を聞かされた。

暇があったら彼女自慢。うざいったらありゃしない。

でも、彼女の話をする結星はいつも幸せそうだった。

当時の俺はというと、多分客観的に見たら手のかかるクソガキだったと思う。

「なぁ、お前の中学からまた電話かかってきたんだけど」

「女子が俺のことチラチラ見るから、殺すぞって脅しただけだし」

そしたらたまたまそこに通りかかった学年主任に聞かれて、大袈裟にしやがって。

「お前さー、殺すとかいうと恐喝罪でいつか逮捕されるぞ」

「結星はいつまでサツに怯えてんだよ」

「怯えてる、とかそういう問題じゃないだろ」
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