世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
父は幼い頃に病死して。母は半年前に男を作って家に帰らなくなったけど。

俺達は2人でそれなりに楽しく、平凡な毎日を送っていた。

でもそんなある日。

「結星……っ!? どうしたんだよ!?」

帰宅すると、リビングで結星が倒れていた。

急いで救急車を呼び、病院に搬送されたが、その後、医者から受けた説明は深刻なものだった。

「悪性腫瘍……ですか?」

隣に座る美穂子さんが掠れた声を上げた。

美穂子さんは父の姉で、俺達の叔母。

母は連絡しても通じないし、未成年の俺達に何かあれば、美穂子さんに連絡がいくようになっていた。

「はい。脳のこの辺りに…」

結星の頭の断面図……白黒のレントゲン写真を示して淡々と説明する担当医に、俺は頭が真っ白になった。

結星が……病気…

確かに最近頭痛がする、ってちょいちょい言ってた。

電話のし過ぎじゃね、と言ってからかってたけど……まさかこんなことになってたなんて。

***

別室で同様の説明を受けたらしい結星は申し訳なさそうに、病室の扉を開けた俺を見ていた。

「……びっくりしたよな。ごめんな」

外はすっかり暗くなっていて。

ベッドに横たわる結星は困ったように笑っていた。

「別に謝んなよ。医者も言ってただろ?手術すりゃ治るし、大したことねぇって」

手術すれば治る、というのは今の俺にとって唯一の希望だった。
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