世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
少なくともそうしておけば死んだことを打ち明けるより、はるかに悲しみは軽減されると思った。

どっちを選んでも悲しいなら。

結星が望んだように、さっさと嫌われてもらった方がいい。

忘れてもらった方がいい。


しかし羽瑠はそれからも嫌いになる所か、無邪気に何度も歩み寄ってきた。

病院に行く途中、後をつけられて、

「私のこと……、……冷めちゃった、?」

そう聞かれたこともあった。

「紅嵐くんに、その…っ、事故のこと聞いた…。結星くん、私のこと覚えて…ないよね……。え、と…っ、だから、…っ」

別にそんなつもりなどなかったが、紅嵐が勝手に‪”‬結星は記憶喪失だ‪”‬と羽瑠に状況説明したらしく。

それを信じた羽瑠は……

「私…っ、小熊羽瑠っていうんです!」

1から10まで。

俺に丁寧に説明しようとした。

記憶がない、と知っても、そうやってどこまでも一途に追いかけてきた羽瑠のその一途さに俺は、次第に……

やられていった。

記憶喪失なんて設定は、俺を苦しめるだけだった。

「俺はもう‪”‬結星くん‪”‬じゃねぇんだよ…っ!!」

あの日は、やけに…、‪”‬結星くん‪”‬と呼ばれた日だった。

だからつい口が滑ってあんなこと言っちまった。

そしたら、死ぬほど泣いちまって……。

そうか。

今……俺、結星の大切な彼女泣かせてんだな、って思って。

2人の思い出を俺がぶち壊してるんだな、って思って。

そんなん覚悟の上で冷たくして。

嫌われようとしてんのに……。
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