世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
もういっそのこと俺が一生結星のフリしてこいつを​───────…

そんな思考に行き着いた瞬間もあってうんざりした。

そんなん…、いつかバレるに決まってんのに……。

そうしたら結星はどこだ、って話になる。

そうしたら……、

そうしたら​───────…

結局悲しい思いをさせるだけなんだ。


‪”‬ も う 羽 瑠 と は 会 わ な い ‪”‬


やっと俺の中で決心が着いたそんな時だった。

「もしもし!? 羽瑠ちゃんが車に跳ねられて今病院に……っ」

羽瑠が死んじまうかもしれない。

そうなって初めて、

大切なもんは意地でも手離したらだめなんだ、って気付かされた。

「はっきり聞くけど、お前羽瑠ちゃんのこと好きなんだろ?」

だからあの時俺は、迷わずこう答えた。

「あぁ、好きだ……」

結星が死んだ時。

俺は悲しみよりも遥かに怒りが勝っていた。

後悔したからだ。

病気だって知った時も、手術がうまくいかなかった時も。

全てにおいて、俺はただ無力だった。

後悔したんだ。

俺…もう少し何かしてやれなかったかなって。

もう…、あとから後悔するような道は選びたくなかった。

もっと抱きしめてやればよかった。

もっと優しくしてやればよかった。

そうやって死んでから思いたくなかった。

この子を手離したら、俺は絶対後悔する。

そう思った。
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