世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
そんな可能性から目を背けて蓋をしたかった。

「それ、本当?」

「え?」

心の内まで見透かされてしまいそうな、そんな瞳が私を捉えて逃がさない。

「……結星のことで、泣いてたんじゃないの?」

心のど真ん中を刺激させられた気がした。

「……」

図星をつかれ、目を逸らした、

きっと心のどこかで結星くんは絶対に私のことを嫌いにならない、って自信があったからこそ、悲しくてショックで、混乱してるんだと思う。

「ん……っ」

その時だった。

本当に予期せぬ出来事に私は目を見開くしかなかった。

唇に…温かいものが……、触れたのだ。

かと思ったらすぐに離され、頬に手が添えられる。

「そんな悲しい顔しないで? ね?」

海月くんが目に涙を浮かべてそんなセリフを言った直後。

どこからか、また別の不機嫌そうな声が聞こえてきた。

「海月ー、どこ行ったー?…ったくあの野郎。自分だけ高いとこ行きやがって……、高所恐怖症の気持ち考えたことあんのかよ」

「あっ、紅嵐だ! ごめんっ、僕もう行くっ」

そう言い残して、海月くんはまた軽やかな身のこなしでベランダから木に飛び乗った。

不思議だ。

フワッ、と軽やかで。

海月みたいな人​───────。

「…」
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