世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
震える唇を噛み締めて、震える手を握りしめて、返事が来るまで沈黙に耐えた。

……震える必要なんてない。

目の前にいる人は、私の…

世界で1番好きな人だから…。

ーートントン

その時だった。

後ろから肩を叩かれたので振り向くと、紅嵐くんがいて、そのことに気付いた時には、すでに鼻腔にツーン、とした刺激臭が漂っていた。

そのまま私は、瞼を閉じた。


***

「…っ」

目が覚めた私は、すぐに状況を把握した。

視界の中心で煌びやかに部屋を照らすシャンデリア。ピンクの壁……。

しまった……、また拘束された……

せっかく結星くんと会えたのに!

「あっ、起きた?」

「紅嵐くん…」

良かった……。今日はガムテープされてない。


手と足は前と一緒でガッツリ拘束されちゃってるけど…。

「あの……、これ解いてくれませんか」

「やだ」

即答だ…。

「私のこと…、病院から学校まで、わざわざ運んできたんですか」

私の記憶が正しければ眠らされたのは病院だったはずだ…。

「そう」

ニッコリ、と不敵な笑みを浮かべながらベッドに近づいてくる紅嵐くん。
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