世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
老朽化……

恐る恐る下を覗くと、

わ……っ、たっかぁ!

ボロボロと手すりが1つにその先はもう奈落の底。

硬そうなコンクリートが広がる地面が数十メートル下に広がっていてゾワッ、とする。

あと数歩向こう行ってたら私……落っこちてた…。

「ありがとっ……」

やっぱり……記憶がなくたって、
結星くんの優しさはあの頃と何も変わらない。

胸がポカポカと暖かくなる。

こんな気持ち久しぶりだった。

また、カァーカァーと頭上でカラスが鳴いて。

その鳴き声に、被さるように結星くんが、バツが悪そうに口を開いた。







「………………………悪かった」







「……」


「え……っ?」

ゆっくりとジャケットを羽織りながら結星くんが、小さく続ける。

「あんなふうに……、泣かせたかった訳じゃなかった。ごめん」

あ……。

ーー俺はもう‪”‬結星くん‪”‬じゃねぇんだよ…っ!!

地面に押し付けられたまま、あの一言を境に大泣きした自分の姿がフッ、と過ぎる……。

……気に…してたんだ…………。

びっくりした。

寝てる隙に勝手に引っ付いたことを怒る訳でもなく、そんなことを言ってくるから……。

それゆえ、なんの反応も出来ず、ただ固まる。

「……なんだよ」

声の代わりに慌てて首を横に振った。

「うっ、ううん!!」
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