世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
‪”‬以前‪”‬ を知らない俺にとって、

こいつの中で、‪”‬結星くん‪”‬がどんな存在だったのか。

どんな……‪”‬彼氏‪”‬だったのか。

ただの他人事に過ぎない。

でも…少なくとも、あれだけの涙を流せるぐらい、こいつにとっては…

‪”‬大切な存在‪”‬ だったのかもしれない。


「思い出せーっ…、思い出せーーっ…」

……聞こえてるし。

本人は小声のつもりなんだろうが、丸聞こえだ。

……







ごめんな​───────。








つい気が緩んで、閉じた瞼の隙間から涙を流してしまった。

頬を伝う涙の感覚に、しまったと思った。

あいつに見られたかどうかは目を閉じていて分からなかったが、あの後すぐ……

「すきだよ…結星くん」

勝手に俺の背中に引っ付いてきやがった。

……ったく。

誰が許可したよ…。

でも。

笑ってるあいつを見て、ホッとした自分もいて。

思えば……、あいつと会ってから俺は……

変なぎこちのない笑みと、不安げな顔。

あと……

泣き顔しか見てこなかったから。

「あっ、待って!」

帰り際。屋上から立ち去ろうとした時。

後ろから呼び止められた。

振り返ると両手でギュッ、とスマホを握りしめたあいつが赤く腫れ上がった目を嬉しそうに細めて、駆け寄ってきていた。

「あの……っ、また!夜電話したりしたいな」

「……」
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