世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
「あっ、私、パパの仕事の都合で、ずっと海外に居たんだけど、1年ぐらいは私たち、毎晩のように電話してて……」

俺の知らないことを丁寧に1から教えてくれたそいつは……、頬をふにゃっ、と綻ばせた。

「悲しかった時も、寂しかった時も、結星くんの声聞くと、安心できて、明日も頑張ろう、って元気もらってたの。結星くんの声…っ、イケボだから、めっちゃ好きなの」

遠慮がちに「…だめ、かな?」と、上目遣いで尋ねてきたので、渋々返事をした。

「……たまになら」

「…ほっ、ほんと!?」

嬉しそうな顔しやがって……。

そんな嬉しいか?

恋人と長電話とか、何が楽しいんだか。

「やったーっ!やったぁ!」

そんなふうに無邪気に両手を上げて喜んでいた。

ひとしきり喜び終えると、笑みが残った顔で言った。

「あっ、私ね!結星くんと喧嘩したの……っ、実は今日が初めてなんだっ」

「……だからなんだよ」

「ちょっとうれしい……っ」

また、ヘニョッ、と笑顔を浮かべて俺を見ていた。


……変な奴。

こんな女の……、

どこに惚れたんだか​───────。


「あ!」

何か思い出した様子で口を開いたかと思えば…

「羽瑠、って呼んで!そう呼ばれてたの!」

期待が混ざったような眼差しで俺を見据えていた​が特に返事はせず、俺は屋上を後にした。
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