世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
***

「へへ…てへへへ…」

「うるうるー。今日はご機嫌だねぇ」

「てへへ、うん……っ」

「なんかいいことあったのー?」

翌日は朝から頬が緩みっぱなしだった。

「てへへぇ…、あったっ…。いっぱいあったっ」

「それってぇー、結星くんのこと?」

「えっ!なんで分かったの!?」

「いやぁー、それしかないじゃーん」

食堂で卵焼きを頬張りながら、桃子ちゃんが得意げに笑った。

「もしかして、記憶戻ったとか?」

結星くんが記憶喪失であることは桃子ちゃんも知らなかったようで、少し前に話した時、驚いていた。

事故したの、長期休暇って言ってたからあんまり周りに広まらなかったのかも。

「あっ、それはまだ……なんだけどね…、昨日、連絡先交換したの!」

「え!まじ!? すごい進歩!」

「でしょっ!」

帰国して早々首を絞められたことを知ってる桃子ちゃんは自分のことのように喜んでくれて、ハイタッチを交わした。

「その調子なら結星くんも、きっとすぐ思い出すね!」

「うん!」

弾かれたように頷いてすぐ「あっ、でもね…」と付け足した。

「?」

「出来ることなら記憶は思い出して欲しいけど、もし戻らないなら、それはそれでもいいかな、って今思えてるんだよね!」
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