世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う




「誕生日おめでとっ! これ! 良かったら…っ」

ーー中学の頃。

結星くんの誕生日に、手作りのクッキーをあげたことがある。

「え、まじ? すげぇ嬉しい……。ありがとな」

「どういたしまして…っ」

卵もお皿もいっぱい床に落としちゃって。

キッチンを、グチャグチャにして。

そしたらママに怒られて。

泣いた。

そんな前日のことは綺麗さっぱり忘れて、手渡した。

「うわっ、うま…っ」

「ほんと!? 甘すぎないっ?」

さっそく私の前で食べてくれた結星くん。

ニッ、と笑って言ってくれた。

「俺、甘いもの好きだから」

「良かったぁっ」

「あぁ、羽瑠はいいお嫁さんになるな」

そう言って笑ってくれた笑顔には、ときめかざるを得なかった。

「てへへ…っ」

結星くんは……、

さりげなく。

私が喜ぶことを言ってくれる人だった。

***

『……はい』

「もしもし…っ」

5コール目で出てくれた電話。

今日は、ちゃんと言いたいことを決めて電話したんだ。

「あのね! もうすぐ結星くんの誕生日でしょ? その……っ、」

『……』

「……」

ちゃんと言いたいことを決めた……はず。

なのに、なかなか言い出せなくて、口をパクパクさせた。

結星くんとの電話はだいぶ慣れてきたけど、やっぱりこういう時は無条件に緊張してしまう。

「えっ、と……」
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