蓮の花咲き誇る池に落ちた蜻蛉玉



鐵家が治めているこの国は、とても平和だ。





人々には活気があふれ、市場もにぎわい、平民も貴族も皆幸せそうに暮らしている。





その都の京の朝、城下町の一画では騒々しく人々が動き回っておりました。





「まだ見つからんのか!」





「申し訳ありません。くまなく探しているのですが…」





腹立たしさを隠せない中年の男は、この家の主だ。





動揺しているのか、同じ場所を行ったり来たりを繰り返している。





「なぜ今になって、、儀の準備を始めていたというのに」





「…美鈴様をお呼びしましょうか?」






床に頭をつけたまま、震えた声で意見を伝える従者。






「はぁ、仕方ない。うちにはあの子しか残っていないからな」






「では、呼んでまいります」






男が去ろうと、顔を上げようとしていると





「美鈴なら菓子を買いに行くように頼みましたよ」





「奥様、おはようございます」





「えぇ、おはよう。でも、あなた、美鈴には少し早いお話じゃないかしら」





途中で入ってきた綺麗な着物を着ている女性は、この家の女主で、





腹が立っている主人に優しく声をかける。





「だが、薫がいなくなった今、嫁げるのは美鈴しかいないだろう?」





「美鈴は世間を知らなすぎるわ」




「…その方がいいのかもしれない」





主人は、手で合図をし、下がるように命じると従者はすぐに下がっていった。





「薫め、最後まで迷惑をかけよってからに。」




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