姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
彼の大きな手が私の腕に添えられ、おでこに触れるか触れないかのキスが降ってきた。
そこにするのさえ気遣うような軽い口づけ。
挙式が始まる直前になって、『誓いのキスは唇にしたくないです』と私が言い出したからだ。
すると雅貴さんは理由も聞かずに了承し、『じゃあ、キスはおでこにしようか』とあっさり代替案を出した。まるで彼もそれを望んでいたかのように。
胸がツキンと痛んだけれど、傷つく資格はなかった。
雅貴さんが本当に愛しているのは、私の姉の凛花だと、最初から知っているのだから。
姉が列席する前で、少しでも私と深く触れ合いたくないのは当然だろう。
私は一生、彼の一番にはなれないと骨身に染みている。それでもいいから結婚を望んだのだ。雅貴さんと唇にキスしたかったという本音は、胸の内に仕舞い込む。
牧師が祈りを捧げ、私と雅貴さんの結婚成立を宣言した。
――雅貴さん、ごめんなさい。
あなたを兄のように慕っていた中学生の頃、『百花ちゃんは二番目の女の子になんてなったらだめだよ』と諭してくれたのに、私は聞き入れられませんでした。
あのときは回避できたけれど、結局そういう愚かな道を行く運命だったみたいです。
盛大な祝福の拍手に包まれながら、私は彼に懺悔していた。
そこにするのさえ気遣うような軽い口づけ。
挙式が始まる直前になって、『誓いのキスは唇にしたくないです』と私が言い出したからだ。
すると雅貴さんは理由も聞かずに了承し、『じゃあ、キスはおでこにしようか』とあっさり代替案を出した。まるで彼もそれを望んでいたかのように。
胸がツキンと痛んだけれど、傷つく資格はなかった。
雅貴さんが本当に愛しているのは、私の姉の凛花だと、最初から知っているのだから。
姉が列席する前で、少しでも私と深く触れ合いたくないのは当然だろう。
私は一生、彼の一番にはなれないと骨身に染みている。それでもいいから結婚を望んだのだ。雅貴さんと唇にキスしたかったという本音は、胸の内に仕舞い込む。
牧師が祈りを捧げ、私と雅貴さんの結婚成立を宣言した。
――雅貴さん、ごめんなさい。
あなたを兄のように慕っていた中学生の頃、『百花ちゃんは二番目の女の子になんてなったらだめだよ』と諭してくれたのに、私は聞き入れられませんでした。
あのときは回避できたけれど、結局そういう愚かな道を行く運命だったみたいです。
盛大な祝福の拍手に包まれながら、私は彼に懺悔していた。