姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
 そのときには『妹みたいでかわいいよ』と答えた俺を、凛花さんは愉快そうに笑った。『足しげく私に会いに来るふりをして百花に会いに来てるの、バレバレだから』と。百花が気に入りそうなお菓子をせっせと持参する俺を、いつもにやにやしながら眺めていたそうだ。凛花さんには敵わない。

 そうしてその凛花さんの言葉で、俺は百花を好きなのだと、はっきりと自覚した。

 百花は特別だ。

 今も昔もこの先も、生涯変わることはない。

 凛花さんにはこうなる未来が見えていたのだろうか。

 依然、百花はベッドの上で安らかな寝息を立てている。あんなに嫌がっていた俺の前なのに、無防備に眠る姿が愛おしかった。

 こういうところがかわいらしくて、守りたくなる。

 本当は今すぐにでも抱いてしまいたいけれど、急ぐつもりはなかった。

 過去の関係はどうでもよくなるくらい、俺に夢中にさせるから。

 必ず俺を好きにさせてみせる。

 そのときは覚悟して。身も心も俺のものにする。もう我慢はしてあげられないよ。



 
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