明日、君に伝えたいんだ
こんな気持ち、いつまで続くのだろうか。わからない疑問について暖かく真っ暗闇の中、体を丸めて考えていた。


ガラガラッ、と扉の開く音がして咄嗟に体を起こす。


「ごめんねぇ、遅くなっちゃった。美月さん、倒れたんでしょ?」


そこに居たのは、美しいと有名な保健室の先生だった。それにしても、倒れた、は大袈裟な気がする。


「倒れたっていっても、そこまで大袈裟じゃないですよ。どちらかと言うと、転んだって言う方が正しい気もしますし」


「でも、先生心配だわ。美月さんはいつも頑張ってるもの」



先生が誰からも好かれる理由がよくわかる。こんなに親身になってくれて、優しい先生はあまり居ないのではないか、と考えてしまう。


「美月さん、ちょっと待っててね」


「はい」


先生は何かを作業をしながら、私に質問やら今日食べた朝ごはんやら色んな話をしてくれる。


話を聞いていると、ふと気になることがあった。


「あれ、優輝はもう教室に戻りましたか?」


そう聞くと、先生は私にニコッと笑いかけた。


「私が返してしまったわ。ごめんなさいね」


「いえ、別に大丈夫です」


もう、優輝は教室に戻ったのか。でも、授業前だったから仕方ないよね。
< 10 / 31 >

この作品をシェア

pagetop