すみっこ屋敷の魔法使い

 今日の朝食は、ライ麦パンのサンドイッチ。チーズとハムを挟んだ、シンプルなものだ。

 今朝は自然と空腹を覚えたので、モアはパクッとサンドイッチにかぶりつく。「食べたい」と思いながらする食事は、とても美味しい。サンドイッチはエディの屋敷にいたときも食べていたが、こんなに美味しいものだったのかと驚く。

 二人で朝食を食べて、紅茶を飲みながら食休み。食後だからかほんのりとぼんやりして、心地よい。

 イリスが立ち上がり、玄関に向かう。戻ってきた彼が持っていたのは、郵便物だった。イリスは「ああ、ハーポヤさんね」「こっちは、モモリさん」など差出人の名前を見ながら郵便物を仕分けしてゆく。


「おや」


 そのなかで、イリスはひとつの手紙を見て声をあげた。そして、モアに「見てごらん」と手紙を見せてくる。そこには「すみっこ屋敷へ」と書いてあった。


「それは……もしかして」

「きみと同じように、この屋敷にお願い事を書いて送ってくれたみたい」


 自分以外にも送る人がやっぱりいるのか、とモアは少しばかり興奮してしまった。

 イリスは中身を確認すると、「ふんふん」と頷いてモアに笑いかける。


「さっそく、招待してみようか」
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