シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
 隠しておくのも嫌だから正直に話すことにした。

「穂高さんはすごいですね。私は料理があまり得意ではないんです」

 幻滅されちゃうかな?
 不安だったけど、彼は意外なことを口にした。

「君は実家暮らしだよね? だったらそういう機会が少なかっただけじゃないかな?」
「え?」
「だから、やってみると案外面白いと思うよ。別にできなくても落ち込むようなことでもないしね。今はどこへ行っても美味しいものが食べられるから」

 明人さん、気遣ってくれてる。
 世の中には女のくせに料理もできないのかと言う男性もいると聞くのに、彼はそれを責めたりしないんだ。

 本当に素敵な人だなあ。
 どうして別れちゃったんだろう?
 話すたびにどんどん好感度が上がっていくばかりで、引っかかる点は見つからない。

 でも、人にはいろいろ事情があるし、詮索するのは野暮かもしれない。

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