シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
 タイミングよくインターホンが鳴って、玄関まで出迎えると浅井さんが袋を掲げて立っていた。

「こんにちはー。これ、お土産ね!」
「ありがとうございます」

 白ワインだ。明人さんは浅井さんがこれを持ってくることを知っていたんだ。
 浅井さんが来て少し経ってから優菜が訪れた。彼女は手土産に人気のあるお店のケーキを持ってきた。

「ありがとう、優菜。私ここのケーキ大好き」
「だと思ってね」

 それから優菜は明人さんに顔を向けて丁寧に挨拶をした。

「本日はお招きいただきありがとうございます」
「いいえ、こちらこそ。妻と仲良くしてくれてありがとう」

 明人さんのさりげない返答に少し気恥ずかしくなった。
 妻と、だなんて……。

 浅井さんは明人さんの様子を見てめずらしそうにしながら、にやにやしていた。

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