シェフな夫のおうちごはん～最強スパダリ旦那さまに捕まりました～

　そのあとは、どうにか場の空気がもとに戻って穏やかに進み、みんなで優菜が持ってきたケーキを食べてからお開きとなった。
　浅井さんは帰り際に私にこっそり声をかけてきた。

「奥さん、さっきはごめんね」
「もういいですよ。それに、明人さんが元カノさんと最近まで付き合っていたこと知っていますし」
「あ、なんだ。そうなの？」

　浅井さんは呆気にとられた顔で反応した。だから私はすぐに返す。

「相手が誰かは知りませんよ」
「あ、あー……そうなんだ。まあ、知る必要ないよ。今は穂高さん、奥さんに夢中なんだから」
「そうですか」

　浅井さんは明人さんの元カノさんのことをよく知っているのだろう。だけど、私は知りたいとは思わない。気にならないといえば嘘になるけど、もう過去のことだし、私には関係ない。

「あんまり余計なこと言うなって言われそうだけどさ、俺奥さんのこと人としてすげー好きだよ。穂高さんとマジお似合いだと思ってるから」

　浅井さんは言い訳するみたいに慌ててそう言ったけど、私は単純に嬉しく思った。

「ありがとうございます」