シェフな夫のおうちごはん～最強スパダリ旦那さまに捕まりました～

「波留、何を考えてる？」
「え？　何も……楽しかったなあって」
「疲れてる？　浮かない顔してる」
「そう、ちょっと張り切りすぎて疲れちゃったんです。今日は早く寝ましょうね」

　私は笑顔でそう言ったつもりなのに、明人さんはなぜか神妙な面持ちをした。そして彼はそのまま私をぐいっと抱き寄せて私の髪を撫でた。

「明人さん？」
「何も気にしなくていい」
「え……」
「俺が一番大切に思っているのは波留だけだ」

　明人さんこそ、浅井さんの発言を気にしていたんだ。
　彼の気遣いの言葉が胸に沁みて、私は少しばかり安堵した。

「それは、すっごくわかります。だって、明人さんは他の人に見せない一面を私に見せてくれるから。私はあなたの特別なんだよね？」
「ああ、そうだよ。これ以上ないくらい特別な奥さんだ」

　私は嬉しくて、ふふっと笑って彼の肩に頭を乗せてくっついた。
　他人から何を言われたって私は明人さんを信じているから大丈夫。
　
　そう思っていたのに、なぜか運命はイタズラをしてくるのだった。