シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
 彼は涼しい顔をして私の髪に触れたあと、にっこり笑った。

「葉っぱがついてたよ」
「あ、ありがとうございます」

 やだな、私……。
 こうやって男の人に触られたことがないから、妙に意識しちゃう。
 だけど、明人さんはこういうの慣れているんだろうな。

 きっと、元カノさんの髪を触ったり、したんだろうな……。

 そんなことを考えたら、もやもやして、ほんの少し凶暴な気持ちになった。
 私の胸の奥からめらめらと燃える何かが、普段はあまりない闘争心を掻き立てる。
 今、行動しないときっと、後悔する。

「あ、あの……」

 私は勇気を出して今の気持ちを告げることにした。

「何?」
 と明人さんは穏やかに返事をする。

 頑張れ私……頑張れ!!

「もし、よかったら、穂高さんの彼女候補にしていただけないでしょうか?」

 やった! 言えた!!
 よくやった、私!!!

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